2023年6月23日  更新

TCFD提言への賛同及び情報開示

当社グループでは、持続可能な社会の実現に貢献し、社会から信頼され長期にわたり発展し続ける企業であるために、地球環境の保全を重要課題と認識しています。
そのため、環境と調和ある事業活動を通じて、環境負荷を低減するとともに、循環型社会の実現と地球温暖化の抑制に寄与することを目的とした「にしてつグループ環境方針」を制定し、現在まで環境負荷低減活動を実践して参りました。
当社グループは、バス事業・鉄道事業等の運輸業を始め、賃貸事業・住宅事業等の不動産業や流通業等の様々な事業を展開しており、各事業に応じた対応が必要となります。
2022年3月、当社は、TCFD提言へ賛同するとともに、にしてつグループ全体のCO2排出量の約50%を占めるバス事業について情報開示をしております。このたび、鉄道事業につきましてもTCFD提言に基づくシナリオ分析を実施いたしましたので、情報を開示いたします。今後も引き続き、気候変動に適切に対応し、地球環境保全に取り組んで参ります。

ガバナンス

当社グループでは、気候変動問題を含む重要課題を8項目特定しております。これを受け、サステナブル経営における重要な方針・方向性を協議し、社長執行役員の意志決定を補佐するESG推進会議や常務会及び各委員会を設置するなどサステナブル経営の推進体制を構築しています。
ESG推進会議は、社長執行役員が議長となり、全執行役員が参加して毎月開催し、各委員会や各部・グループ各社の担当役員からサステナブル経営に関する活動報告を受け実施状況を確認しています。
また、気候変動問題解決に向けた自主的目標の設定や環境負荷低減活動を取りまとめた「環境負荷低減計画」の進捗状況を確認するとともに対応策の検討等を指示しています。
取締役会は、ESG推進会議で協議した重要な事項について適宜報告を受け、適切に監督を行っています。

【サステナブル経営推進体制図】

戦略

1.リスクと機会
気候変動がもたらすリスクは、脱炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と物理的な影響に伴うリスク(物理的リスク)に分けられます。
また、気候変動は、当社グループにとって成長の“機会”としての側面もあるため“リスク”に加え、“機会”の両面から重要度の評価を実施しました。 
バス事業に加え、今回は鉄道事業においても実施した結果、電力コストや次世代技術導入コストに関わるリスクに加えて、CO2の排出量が少ない鉄道へのシフトが機会として特定されました。


〇バス事業における気候関連のリスクと機会

○鉄道事業における気候関連のリスクと機会

 

2.シナリオ分析
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)等の専門機関が描く産業革命前と比較した世界の平均気温の上昇幅を示すシナリオの中から、パリ協定を踏まえたシステム移行により1.5℃未満に抑えられる1.5℃の外部シナリオと、新たな政策・制度が導入されずに21世紀末には4.0℃前後まで上昇する4℃の外部シナリオに基づき、バス事業及び鉄道事業における気候変動の影響について分析を行いました。


【使用パラメータ一覧】

 

〇バス事業
1.5℃シナリオでは、炭素税の導入による大幅なコストの増加が懸念されるところをEVバス等の導入を促進することで大きくリカバリー出来ることや、エネルギーミックスの変化によるコストの減少、MaaSの普及によるモーダルシフトの進展等により、自家用車からバスへのお客さまの転換が期待でき、売上を増加させる機会を獲得できるものと想定されます。一方、4℃シナリオでは、軽油価格の上昇による大幅なコスト増加に対応できずに、事業存続が危ぶまれる事態に陥る可能性があることが分かりました。
このような炭素税リスクに対応するため、EVバス等の導入を促進し、MaaSの普及に向け、他社との協働を推進していきます。


〇バス事業における財務インパクト評価(1年当たりの予想コストの増減 2030年)

 

〇鉄道事業
1.5℃シナリオでは、炭素税の導入やエネルギーミックスの変化に伴う再生可能エネルギー普及の進展の影響でコストが増加することが分かりました。
また、4℃シナリオでは、異常気象の激甚化などの影響が1.5℃シナリオに比較して2倍以上になることが分かりました。
脱炭素社会の実現に向け、1.5℃の世界の実現を目指し、省エネ車両への計画的代替や太陽光発電の導入などに取り組むとともに、風水害に強い施設・車両の整備や、BCPの継続的見直しなどに引き続き取り組んでいきます。

 

〇鉄道事業における財務インパクト評価(1年当たりの予想コストの増減 2030年)

バス事業及び鉄道事業におけるシナリオ分析の結果を踏まえ、社会から信頼され長期にわたり発展し続ける企業であるために、誰一人取り残されない持続可能な社会が実現出来るよう、1.5℃の世界の実現に向けた取り組みを進めて参ります。

リスク管理

当社グループでは、社長執行役員を議長とするESG推進会議において、各部門・グループ各社において作成した CO排出量※1の削減を含む「環境負荷低減計画」をベースにし、グループ全体計画策定しています。その進捗状況をモニタリングし、各部門・グループ各社に修正等を指示するなど、リスクマネジメントのPDCAサイクルを実施しています。

※1 当社グループで把握している CO排出量はGHGプロトコルに基づく Scope1、Scope 2 を対象としており、Scope 3 の把握手法について現在検討しております。
  Scope 1:事業者自らによる燃料を使用して直接排出する量
  Scope 2:他社から供給された電気、熱・蒸気を使用して間接的に排出する量
  Scope 3:Scope 1、Scope 2 以外の事業者の活動に関連して排出する量

指標と目標

当社グループは、2022年11月に2035年度を目標年次とする長期ビジョン「にしてつグループまち夢ビジョン2035『濃やかに、共に、創り支える』」を策定し、ロードマップである「カーボンニュートラル(2050)を目指して」を明示しております。また、第16次中期経営計画(2023年度~2025年度)における削減目標をロードマップに合わせ設定しております。
 CO2削減目標を

 ・2025年度 2013年度比 38%削減(第16次中期経営計画)

 ・2035年度 2013年度比 50%削減(長期ビジョン)

とし、国の目標である「CO2排出量 2030年度 2013年度比 46%削減」を達成し、カーボンニュートラル(2050年)をグループ全体で目指します。

 

~ カーボンニュートラル(2050年)を目指して ~