なにげなく目にしていた鳥も、注意してみると、とても種類が多く、その習性も様々。鳥たちを見ていると、自然の変化に気付くはず。写真はちょうどいい住家を見つけたシジュウカラ。(写真提供:財団法人 日本野鳥の会)
 
文/湯浅玲子   写真/志賀智

福岡市と博多湾一帯は、南北と東西の渡り鳥のルートが交差し、水辺から森林まで豊かな自然環境と相まって、多数の野鳥が観察できる地域です。野鳥観察のために全国から福岡を訪れる人もいるほどですが、こうした豊かな自然を我々市民はどれだけ認識しているでしょうか。今回は日本野鳥の会福岡支部支部長の小野仁さんに、福岡の自然環境の豊かさ、そして野鳥を観察する楽しみを伺いました。そこからは私たちが知らない福岡の顔が見えてくるかもしれません。
 

―プロフィール―
1950年、福岡県生まれ。趣味の山登りから植物、昆虫、野鳥などに興味を持ち、自然環境全体のことを考えるようになる。野鳥観察歴は大学時代から。2003年より日本野鳥の会福岡支部支部長を務める。自然観察指導員、ネイチャーゲーム指導員などの資格も持ち、現在は環境カウンセラーとして活動している。

森林、平野、水辺と豊かな自然環境。 福岡は全国有数の野鳥観察地。
 

オオルリは、頭の先から尾にかけて、瑠璃色に輝く青い鳥。初夏になると日本に渡って来る夏鳥で、高い木の上や電柱などの高い場所で見つけることができる。(写真提供:小野仁)

―福岡は野鳥がとても豊富な場所だそうですね。

小野「福岡は日本でも非常に恵まれた場所です。コンパクトな街の中に標高1000mの山から0mの海まである。平野もあるし、池や川もたくさんあります。環境的にとても豊かなのです。その証拠に、福岡市には農林水産部局がありますが、人口150万都市で農林水産業が成り立つ街はめったにないのです。もちろん野鳥観察にも面白い場所で、森林や水辺などさまざまな環境に暮らす鳥を観察することができます。加えて福岡は大陸にとても近いので、渡り鳥のルートにもなっています。以前、日本野鳥の会では1日にどれだけの鳥を確認できるかを競う『バードソン』というイベントを開催しました。5回出場した中、福岡は1位を3回、残りは2位と3位でした。1日だけで100種類以上の鳥を確認することができるのです」
※以下「」内すべて小野氏

―具体的にどんな場所でどんな鳥が観られるのですか?


「志賀島には日本で越冬する海鳥のアビ類が数千羽飛来します。これは日本一の数です。また9月中旬から10月上旬にはハチクマというタカの仲間が片江展望台を中心とした油山一帯で観られます。その数4〜5000羽で、離島をのぞいた日本列島の中ではいちばん多く確認できる場所です。これからのシーズンでは、5月の連休あたりに南公園で観られるキビタキ。姿も声も美しい鳥で、春先になると日本へやってくる夏鳥です。運が良ければオオルリも観られるかもしれません。青い鳥は皆さんの憧れで、評判の鳥です」

―そのほかにもたくさんの野鳥がいるんですよね?

「福岡支部では今津、大濠公園、和白海岸、天拝山、久末ダムの5カ所で毎月各1回バードウォッチングを開催しています。シーズンによっては牛頸ダム、平尾霊園・鴻巣山、多々良川、能古島、曲渕ダム、志賀島でも開催します。それぞれ環境の違う場所ですから、いろんな野鳥が観られます。でもそうした特別な場所へ行かなくても身近な公園や川、ため池などでも十分です。家庭の庭にもいろんな鳥が来ていますよ。よく観察すればさまざまな鳥を見つけられるはずです。野生生物の中で人間の最も身近にいるのが野鳥なんです。野鳥を観察すれば、身の回りにいろんな生き物がいるということを実感できると思います」

―全国的に見ても福岡での活動は活発なのでは?

「日本野鳥の会は1934年の創設ですが、すでに福岡には、1921年に『福岡鳥の会』というのが設立されていました。おそらく日本で初めての自然を楽しむ会ではないでしょうか。大正時代にこうした会ができるほど福岡の自然は多様で豊かだということです。現在の福岡支部には小学5年生から101歳まで、約760名の会員が、年代の垣根を越えてバードウォッチングを楽しんでいます」

 

定例探鳥会マップ 

◎開催時間:9:00〜12:00(夏場は一部8:00〜11:00)
◎参加費:会員:100円、会員外300円(中学生以下無料)


 
日本野鳥の会
「野の鳥は野に」の考えのもと、1934年に詩人でもあった中西悟堂によって創設。70年に財団法人となり、現在では、自然にあるがままの野鳥に接して楽しむとともに、野鳥に関する科学的知識、適正な保護活動の普及に力を入れている。全国に89の支部があり、会員は約43,000人(2月1日現在)。全国の支部では定例の探鳥会(右)などが開催され、会報やフリーマガジン、ホームページなどで野鳥や自然環境に関するさまざまな情報発信をしている。現在の会長は俳優の柳生博氏が務めている。
●日本野鳥の会 http://www.wbsj.org/
●日本野鳥の会 福岡支部 http://wbsjfukuoka.blog39.fc2.com/
 
 
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