【第19回】
  1969(昭和44)年〜1971(昭和46)年


 流通業やレストラン・ホテルへの進出

  今回は1960年代後半の流通、レストランやホテルへの事業展開についてご紹介します。
  前身会社の一つ、九州電気軌道(九軌)が1933年に(株)九軌デパートを設立、省線(国鉄)博多駅前で営業を始めたのが、西鉄における流通業への最初の進出(商業店舗の経営を除く)でした。同年に北九州でも「戸畑店」を開店しましたが、37年に小倉市の百貨店「井筒屋」と合併、その直後に井筒屋は九軌の系列会社となりました。
  戦後の西鉄の流通事業は当初は主要駅や遊園地、野球場に付帯して、売店事業を経営する程度でした。60年代後半に軌道事業の収益性が急速に悪化する情況下で、観光、不動産と並び流通事業の本格的展開が図られることになりました。69年に(株)西鉄ストアを設立、同年7月には大牟田線(当時)朝倉街道駅前に第1号店を開店、次々と店舗を増加してチェーンストア化を目指しました。
  また終戦直後に食糧確保の一環で系列化した(株)糸島農園は、西鉄街で喫茶店「プラザ」を経営していました。66年には売店事業を継承して体制を整備、「西鉄プラザ」のブランドで69年以降各地にドライブインやレストランを展開、後にはミスタードーナツのフランチャイズなどにも進出しました。
  さて福岡市は、古くからの商業に加えて戦後は行政機能も拡充され、60年代には九州の中心都市となりましたが、市内には本格的都市ホテルが在りませんでした。300室超のホテル登場を期待する地域の要望に応え、財界の協力も得て(株)西鉄グランドホテルを設立しました。69年4月に大名町の旧本社跡地に地上14階308室の規模で華々しく開業、以来現在に至るまで福岡市を代表するホテルとして親しまれています。
  次回は天神コア、西新パレスなど70年代以降における市街地の都市開発事業についてご紹介します。



流通業本格展開の手始めとして、新たに急行停車駅となり、分譲団地の開発も進めていた朝倉街道駅前に、1969年「西鉄ストア」をオープン。続いて箱崎(福岡市)、大川、三ヶ森(北九州市)、春日原と店舗を増加させた。 工事中止となった福岡急行電車終点用地(現在の西鉄博多駅前ビル)の有効活用策として、1932年に貸店舗の形態で「九軌デパート」「九軌マーケット」を建設。翌年には(株)九軌デパートを設立して商業活動に乗り出した。
総工費20億円を投じた西鉄グランドホテルは、1969年4月にオープン。また65年には北九州市でも若松西鉄ホテルの経営に参加、71年には大分市にも、初めての都市ホテルとして「大分西鉄グランドホテル」を開業した。 西鉄の売店事業を継承、一本化した(株)西鉄プラザは、1969年には武雄、山鹿にドライブインを開店。翌年には到津パレスボウル内に本格的フレンチレストランを開設するなど、営業店舗の拡大に努めた。