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| 写真上/桑野内地区の東側は山林、西側は開放的な斜面という地形が可能にした美しい日没。近くの桝形山の山頂からは360度のパノラマが楽しめる。 写真左/土壌・気候・日照時間・雨量の4条件のバランスが良く、品質のいいブドウがとれる五ヶ瀬町にワイナリーが開業。いまは工場だけだが、秋頃には飲食店などの付随施設を充実させる予定だ。ワインの試飲・販売あり。 [五ヶ瀬ワイナリー] 宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町大字桑野内4847-1 TEL0982-73-5477 |
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| 文/葉山 巧 Text:Takumi Hayama 撮影/城後 友理子 Photo:Yuriko Hayama 絵/浜竹睦子 Illustration:Mutsuko Hamatake |
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熊本県境に接し、大きく3つの地区(三ケ所・桑野内・鞍岡)に分かれる五ヶ瀬町は、多くの神話が残る宮崎県〈ひむか神話街道〉のひとつ。太古の時代、海底から九州が隆起したとき、最初に「海上に顔をだした」とされる祇園山もある(昔ここが海底だった証拠に、山頂付近で三葉虫などの化石も発見されている)。徐々に盛りあがり、創世されていく九州島。その様子を想像するだけで神秘的な気分になってしまった。 あれから4億3千万年後の五ヶ瀬の道を、タクシーで桑野内地区へ向かう。目的地は昨年できたばかりの「五ヶ瀬ワイナリー」。このエリアはブドウ栽培にたいへん適しており、昨年末にはめでたくワインの初出荷を迎えたという。そしてまた、このワイナリーは〈夕日の里〉における初めての施設でもあるのだ。 夕日の里とは、五ヶ瀬町が進める町づくりの構想名。きっかけは10年程前、町全体でグリーンツーリズムに参加したことだった。豊かな自然環境のなかで人々に活力を取り戻してもらおう、との主旨でスタート。とはいえ、むやみに観光施設を乱造したりはしない。住民が、ホテルを造るより農村に寝泊まりしてもらう「農泊」に価値を見いだしている辺りは象徴的だ。「ありのままの姿を体験してもらうことが大事だと思うんです」と、ある役場職員が町の総意を代弁する。ワイナリーの開設は、ゆっくりと進むこの構想を少しだけ前進させるだろう。 それに誇れるものは色々ある。四季折々の景勝、樹齢250年の浄専寺のしだれ桜、日本最南端のスキー場、そして桑野内地区から眺める美しい日没。そう、〈夕日の里〉の語源となった五ヶ瀬町ならではの風物だ。ワイナリーを訪れたのもこれを見るため。この界隈から西側を見下ろすと、遠くの阿蘇連山まで遮るものは何もない。やがて陽が傾くと、稜線は光とともに夜に溶けていった。 でも何よりの自慢は、どんな人々も温かく迎える町民の人柄ではなかろうか(宮崎県民特有のおっとり気質も多分に関係しているはず)。役場裏の商店街を歩いていると、店のおばちゃんや小学生たちが「こんにちは」と声をかけてくる。自然で気負いのない挨拶に、思わずこちらも微笑んで「こんにちは」。こうしたなにげない交流がくれる潤いには、どんなリラクゼーション施設もかなわない。そういう意味で〈夕日の里〉は初めからここにあったのかもそんな風に思わせる町である。 |
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