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| 今ではすっかり少なくなった藁こづみ。ここではまだ畑のシンボルだ。(撮影/井尾淳) | |||||||||||||||
| 文/佐々心 Text:Shizuka Sasa 撮影/平川雄一朗 Photo:Yuichiro Hirakawa 絵/浜竹睦子 Illustration:Mutsuko Hamatake |
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というわけで、今回は、有名宿の台所を支えている、産地・湯布院としての顔から見てみようと、パイオニア的な存在の江藤農園から訪ねることに。ここは、この町で生まれ育った江藤雄三さんが、代々家族で守ってきた畑で、湯布院の農業と観光の共生をいち早く実現した農家だ。朝9時前になると、各宿の料理長が朝摘み野菜を受け取りに、30以上の宿の料理人がこの畑にやってくる。「献立より素材が先。だからこそ畑と宿の台所が近いんです」と亀の井別荘「湯の岳庵」の古賀順一料理長。宿で食べたら畑が見えた。それは湯布院ならではの豊かさなのである。 さて、江藤農園から程近い場所に、園芸農園でもあり、民宿でもあり、体験施設でもあるという多才な顔を持つ「フローラハウス」がある。見渡す限りの田畑に囲まれ、昔とひとつも変わらない風景だけれど、指定農園から運ばれる無農薬野菜が軒先に並んでいた。一方、いつもにぎやかな湯の坪通りに足を向けてみると、昔から無農薬小麦、天然酵母など良質素材に徹してきた健康パンでおなじみの「まきのや」。パンのほかにも果実の結晶・ジャムは可愛らしい瓶詰めで相変わらず湯布院の人気者だ。色づく木立ちの合間でひと息つける空間でもある。そして金鱗湖畔、亀の井別荘の「亀の井ガーデン」の一角にも新しい畑の恵みを見つけた。有機無農薬野菜や果物をまるごと味わえるジューススタンドだ。『売場』ではなくお客さまと畑をつなぐ役割を担ったスペースなんです・・・とのこと。ふらりと立ち寄れば土から届いた季節を知り、手間と時間をかけて育てた作り手の心を感じることができる。『地産池消』『スローフード』。そんな言葉が聞こえてくるずっと前から、ここではすでにあたりまえの日常として在った。この秋、スタートしたNHK連続テレビ小説「風のハルカ」でも、ヒロインが家族とともにめざす『美味しい野菜のレストラン』の舞台として、スローな湯布院の町の空気を素直に映し出している。 また10月からは新「由布市」も誕生するなど話題は多いが『湯布院』は変わらない。変わらないから新しい。湯布院の懐は思っているよりずっと深い。 |
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