今ではすっかり少なくなった藁こづみ。ここではまだ畑のシンボルだ。(撮影/井尾淳)
文/佐々心
Text:Shizuka Sasa
撮影/平川雄一朗
Photo:Yuichiro Hirakawa
絵/浜竹睦子
Illustration:Mutsuko Hamatake
 
------------------------------------------------------------------------------------
 
江藤雄三さん(右)「ゆふいん野菜を使った料理研究会」発足の立役者だ。「今日は何がいいか。このやり取りは8年です」と古賀順一さん(左)
[江藤農園]
住所:由布市湯布院町川西1029
TEL: 0977-84-3225
 泉が恋しくなる晩秋。湯布院は、それこそ、誰もが一度は訪れたことのあるもどに有名な温泉地であるが、温泉以外の観光要素も豊富に揃っていることも大きな魅力である。湯処にして湯のみにあらず。地の利に甘えず、じっくりと育った『山里の哲学』で客人を迎える。風光明万媚な景色を行く自然散策、映画にアートにと花咲く文化、そして大地の恵みいっぱいの豊かな食事情は、湯けむり以上に旅情を誘う。
 というわけで、今回は、有名宿の台所を支えている、産地・湯布院としての顔から見てみようと、パイオニア的な存在の江藤農園から訪ねることに。ここは、この町で生まれ育った江藤雄三さんが、代々家族で守ってきた畑で、湯布院の農業と観光の共生をいち早く実現した農家だ。朝9時前になると、各宿の料理長が朝摘み野菜を受け取りに、30以上の宿の料理人がこの畑にやってくる。「献立より素材が先。だからこそ畑と宿の台所が近いんです」と亀の井別荘「湯の岳庵」の古賀順一料理長。宿で食べたら畑が見えた。それは湯布院ならではの豊かさなのである。

 て、江藤農園から程近い場所に、園芸農園でもあり、民宿でもあり、体験施設でもあるという多才な顔を持つ「フローラハウス」がある。見渡す限りの田畑に囲まれ、昔とひとつも変わらない風景だけれど、指定農園から運ばれる無農薬野菜が軒先に並んでいた。一方、いつもにぎやかな湯の坪通りに足を向けてみると、昔から無農薬小麦、天然酵母など良質素材に徹してきた健康パンでおなじみの「まきのや」。パンのほかにも果実の結晶・ジャムは可愛らしい瓶詰めで相変わらず湯布院の人気者だ。色づく木立ちの合間でひと息つける空間でもある。そして金鱗湖畔、亀の井別荘の「亀の井ガーデン」の一角にも新しい畑の恵みを見つけた。有機無農薬野菜や果物をまるごと味わえるジューススタンドだ。『売場』ではなくお客さまと畑をつなぐ役割を担ったスペースなんです・・・とのこと。ふらりと立ち寄れば土から届いた季節を知り、手間と時間をかけて育てた作り手の心を感じることができる。『地産池消』『スローフード』。そんな言葉が聞こえてくるずっと前から、ここではすでにあたりまえの日常として在った。この秋、スタートしたNHK連続テレビ小説「風のハルカ」でも、ヒロインが家族とともにめざす『美味しい野菜のレストラン』の舞台として、スローな湯布院の町の空気を素直に映し出している。
 また10月からは新「由布市」も誕生するなど話題は多いが『湯布院』は変わらない。変わらないから新しい。湯布院の懐は思っているよりずっと深い。
 
------------------------------------------------------------------------------------
オススメのお店
【玄米と創作料理の店 さぼり】 【Cake&Cafe ゆふふ】
【桐 屋】 【櫟[くぬぎ]の丘】
クリックすると拡大して
見ることができます
↓ ↓ ↓

 

【2005年10月現在】
[福岡→湯布院]ゆふいん号 ※座席指定制
(運行会社/亀の井バス・日田バス)
●運賃 福岡(博多駅・天神)→湯布院駅前
大人片道2,800円(往復5,000円)
※4枚綴り回数券(ゆふいんきっぷ)8,000円
●所要時間 2時間2分(天神〜湯布院駅前最速)
●運行本数 1日11往復
●ご予約 九州高速バス予約センター0120-489-939
<ケータイ・PHS> 092-734-2727 
<インターネット予約> http://www.rakubus.jp/
●お問い合わせ 西鉄テレホンセンター
福岡 092-733-3333
http://www.nishitetsu.co.jp/bus/highway/