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| 「六月燈」の発祥は江戸時代。薩摩藩主が観音堂を造りかえた際に行なった献灯にちなみ、鹿児島県内各地で催されてきた。なかでも最大規模のものが、7月15〜16日の「照国神社の六月燈」。地元の人々が作った灯籠がずらりと掲げられる。夕方5時頃から10時くらいまで。 [問]鹿児島市観光課 099-216-1327 普段は閑静な照国神社。西洋式工場「集成館」開設などの先進事業で知られる島津28代藩主・斉彬を祀るため、1863年に創建された。 |
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| 文/葉山巧 Text:Takumi Hayama 撮影/三笘正勝 Photo:Masakatsu Mitoma 絵/浜竹睦子 Illustration:Mutsuko Hamatake |
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ここは桜島を真正面にのぞめる絶好の景勝ポイント。それでもこの時間だと、さすがに威風堂々とした活火山もうすぼんやりとしたシルエットとなり、空の彼方へ溶けこもうとしている。しかし今日の目的は桜島ではない。城山のふもと(展望台のほぼ真下)にある照国神社を眺めたかったのだ 7月15・16日の夏祭り=「六月燈」の壮観な光景を。 にぎわいはもう始まっていた。参道の両側には多くの夜店が並び、その間に無数の老若男女がひしめき、漂うように流れている。社殿の近くにともる一群のあかりは、祭りの名の由来となった千個余りの灯籠だ。これが、鹿児島の夏を代表する風物詩。江戸時代から南九州各地の神社・寺院で催されてきた旧暦6月(現7月上旬〜8月上旬)の祭事で、その最大のものがここ照国神社の「六月燈」なのである。 長い歴史を持つ「六月燈」。もう人々の遺伝子に刷り込まれているのか、とりわけ年輩者に「この祭りが近づくと自然に高揚しますね」と語る人が多い。それが、過ぎ去った時代への郷愁を誘うからだろう。夏祭りとは、そういうものだ。 城山を後にして参道へ戻ってみた。この2日間で、例年30万人が照国神社を訪れるという。家族連れのはずむ笑顔や人いきれに囲まれて、喧噪を楽しみつつ社殿まで歩く。その土地ごとの「六月燈」で、人々は昔から無病息災の祈りを捧げてきたそうだ。神社に向かって合わせた手に、すこしだけ力がこもった。 照国神社を出ると、そこから市内随一の繁華街・天文館までは目と鼻の先。初めてのときは、迷宮のように入り組んだアーケードや路地に驚いたものだ。総合デパートから洒落た雑貨店まで、ここで揃わないものはない。電車通りから北側がファッションやグルメが集中するエリア。南側がいわゆる飲み屋街となる。 さて、ご存じの向きも多いだろうが、天文館とは地名ではなく、実はこの一帯の愛称。島津家25代重豪が天文学研究のために建てさせた〈明時館〉、別名〈天文館〉があったことに由来している。そして時は流れ、いまや地上には、「キラ星」のごとく華やかなネオンが明滅しているというわけだ。 火照った体をジュースで鎮めようとして思い直した。ここは鹿児島、地焼酎を置く店も山ほどある。名物のさつま揚げやきびなご刺しで1杯やれば、疲れも吹き飛ぶに違いない。鹿児島の真夏の夜の夢には、さあ、いかなる陶酔が待つのだろうか? |
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