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| 球磨川名物・川下りはのんびりと流れを楽しむ清流コースと、川の瀬をダイナミックに乗り越えていく急流コースの2タイプ(どちらも要予約)。清流コースは人吉城址の対岸から出発、急流コースはこれより車で20分ほど下った渡発船場からの出発。このほか、ラフティングやカヌーのメッカとしても知られている。 [問]くま川下り株式会社 0966-22‐5555 | |||||||||||||||
| 文/重村直美 Text:Naomi Shigemura 撮影/三笘正勝 Photo:Masakatsu Mitoma 絵/浜竹睦子 Illustration:Mutsuko Hamatake |
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人吉は周囲を山々に囲まれた小さな盆地だ。町の中央には日本三大急流のひとつ・球磨川が流れている。6月になり鮎釣りが解禁を迎えると、尺鮎と呼ばれる30cm以上の大物を狙って全国からファンが訪れる。球磨川の支流・川辺川で川魚を釣り、客にふるまう『やまめ庵』のご主人・鮒田一美さんは言う。「球磨川の素晴らしさは支流が充実しているところ。市街地から30分も車を走らせると天然の大きかヤマメがわんさと釣れる。釣り人にとっては天国みたいな土地。それもこれもね、水をしっかりと蓄える力強か森があるけんたい」。 生きている川の母体は生きている森だ。球磨川においては熊本県と宮崎県との県境に連なる九州脊梁山系。ブナの原生林も生い茂る深い森が蓄えた水分は少しずつ滲み出で、細い支流となり、いくつも合流しながら、やがて堂々たる急流・球磨川になる。長い長い旅だ。昔ながらの木造りの舟に揺られて川を下りながら、私たち乗客もまた、川の旅に同行している。 川面を走る風が実に爽やか。人吉の町は球磨川と並行するように開けている。 川の北側には観光客の一団がみるみる吸い込まれる一本の細い道がある。向かう先は鍛冶屋町通り。鍛冶屋町・大工町・紺屋町にかかる300mほどの路地は、地元住民らの協力によって昔ながらの城下町を思わせる景観が保存され、道の両脇には伝統ある鍛冶屋やお茶屋、味噌・しょうゆ蔵などが連なっている。 町並み保存会の会長・立山茂さんは「町名からもわかるように、この辺り一帯は古くから職人の町でした。自分のところで作ったものを自分のところで売る。代々の技を受け継いできた職人町の再生と、人吉ならではの文化を生かした町づくりをめざしています」。 町外れにそっと佇む茅葺の神社。美人の湯とも称される町中の温泉。昔から変わらない製法で作られる球磨焼酎。四方を山に囲まれた小さな町には、だからこそ古くて良いものが数多く残った。『ウンスンかるた』もそのひとつ。16世紀末に伝来した南蛮カルタを改良したこのカードゲームを全国で唯一伝承する町が人吉だ。遊びの復興にも携わった立山さんは「かつて鍛冶屋町では鉄砲づくりも盛んでした。鉄砲とかるた。日本人に大きな影響を与えたふたつの南蛮文化の面影が、なぜかこの人吉という田舎町には今も残っている。おもしろいなって思うんですよね」。 流れゆく球磨川のように、昨日から今日へ、今日から明日へと受け渡されている歴史と文化。そのひとつひとつは1泊、2泊とこの地に留まることで旅人の胸にもやさしく沁みてくる。 |
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