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| 対岸の自生樹木とすぐ横を走る渓流が、このうえなくリッチな背景画となる「山みず木」の混浴露天風呂。温泉ファンの間でも評価が高く、旅館街から1.7kmと少し離れた場所にもかかわらず、客足が絶えることはない。遠出してみる価値、大いにあり。 [山みず木] 熊本県阿蘇郡南小国町黒川温泉 0967-44-0336 1泊2食18,000円〜(2名宿泊の場合の1名当たりの料金) |
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何度も道に迷いながら、心もとなく暗い山道を進み続け、ようやく探しあてた湯煙に満面の笑みを浮かべる いまでは想像がつかないが、黒川温泉はかつて、そんな知る人ぞ知る小さな湯治場だった。しかしそれも過去の話。いまや常に「行ってみたい温泉」ランキングの上位を占め、一年中老若男女の姿でにぎわう人気の温泉郷だ。いわゆる歓楽街や娯楽施設はない。では温泉以外にあるものは?−−筑後川のせせらぎに澄んだ空、起伏に富んだ地面を埋める木々の影、そしてひなびた面影を残す宿の温かいもてなし。それこそが「最高の贅沢」であることを、いつの頃からか、時間に追われる現代人は肌で感じ取っていたのかもしれない。 総合案内所『風の舎』を中心とした、1km弱の周遊道がいわばメインストリート。そこに新旧の温泉宿がいくつも軒を連ねる。坂の上り下りは意外にきつい。歩いていると数字以上の距離を感じる。でも自然に恵まれた山あいの景観は、疲れを忘れさせるに十分な見ごたえだ。寒風の中、〈入湯手形〉を首にかけ、次の宿まで小走りで。さて、そこではどんな湯にめぐりあえるのだろうか。 途方もない時間をかけ、主人自ら手作業で掘り抜いた「洞窟風呂」は原初的な雰囲気がたまらない。他にも穴風呂や混浴露天・女性専用露天などを完備。 |
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そう、いまの黒川温泉の隆盛を語るとき〈入湯手形〉の存在は外せない。1986年に登場し、この温泉郷の魅力を何倍にもふくらませた功労者だ。1枚購入すれば、3つの好きな宿で入湯OK。これは当時としては画期的なアイデアで、温泉ファンもまた、この心憎い仕掛けに喜んで乗った。時を同じくして、施設面の充実も進む。その旗ふり役となったのが『山の宿新明館』の後藤哲也さん。「昔の温泉は体を治癒する場所だったが、いまは心を治癒する場所。これからはそういう環境をちゃんと作っていかないと」。周りにそう呼びかけた。それまで新明館にしかなかった露天風呂が次々に登場。また建物をリニューアルするときは、できるだけ昔ながらの風情を壊さない工夫がなされた。 「〈自然の庭〉は飽きることがないんです」。黒川温泉にリピーターが絶えない理由は?という質問への、後藤さんの答えだ。「自然に溶けこみ、四季の変化が目の前にあること。それが黒川温泉の魅力なのでしょう」。自身も10年以上かけてノミと金槌で岩を掘り、名物の洞窟風呂を作りあげた。緑に恵まれた地で、どうすれば訪れる人に喜んでもらえるのか。そう考え続けた人々の手で、黒川温泉は育まれてきたのである。 湯めぐり中、路上で冷たい風が肌を刺す。なにせ標高600mを超える土地。氷点下2〜3度になる1月には雪も降る。望むところだ。運がよければ、雪化粧をした露天風呂に入れるのだから。白銀に染まった世界で湯と戯れるひととき。それはじつに、筆舌に尽くせぬ体験だという。 東西に流れる筑後川は、黒川温泉の情緒あふれるアクセント。露天風呂が石鹸などを置かないのは川を汚染から守るためだ。 |
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