公共交通を利用する理由は人によってさまざまですが、医師の安藤文英理事長はあることをきっかけに約30年ぶりにバスを利用するようになりました。
さて、そのきっかけとは?またバスの使い心地は?
今回は一般利用者の視点から見たバスの利便性を、西福岡病院理事長の安藤先生に語っていただきました。

聞き手/湯浅玲子
撮影/志賀智
―プロフィール―
昭和24年、福岡生まれ。昭和50年に九州大学医学部卒業。アメリカ・オクラホマ医学研究所に2年間留学。九州大学医学部第三内科助手・講師、国立病院九州医療センター消化器科医長・臨床検査科長(併任)を経て現職。内科医(肝臓専門)、医学博士。
 
 
コラムで話題になった「乗り合いバスの車窓から」
 
―安藤先生はロータリークラブの会報に「乗り合いバスの車窓から」という文章を寄せていらっしゃいますが、これはどういうことからお書きになったのですか?
安藤「以前の私はマイカーやタクシーの愛好者で、バスや電車はほとんど利用していませんでした。というのも高校時代、自宅のある福岡市南区から高校のある早良区までバスと市電を乗り継いで通学し、うんざりした経験があるからです。当時のバスや市電は乗り心地が悪く、夏は暑くてすし詰め状態。とにかく良い印象がなかったんですね。ところがあることから再びバスを利用するようになり、その利便性を再発見しました。そこで会報に何か書いてくれないかという依頼があった際にバスの良さを文章にしたわけです。こうしたクラブに参加している社長さんは運転手付きの車でいらっしゃる方が多く、バスなど利用したことがないだろうと思って。結構、反響があって『面白い』と言ってくださる人もいるし、先日は『この文章を読んでバスに乗り始めました』という方もいました」
※以下「」内すべて安藤氏

―バスを再び利用し始めたきっかけとは何でしょうか?
「私どもは西区生の松原で病院を運営しています。父が昭和30年に開設したもので、45周年を迎えた時に病院名などを入れた『よかネットカード』を記念品として作りました。このカードは西鉄電車・バス、福岡市地下鉄で共通して使える非常に便利なもの。私の女房は以前からのバス愛好者で、記念品のカードをよく利用していました。それを見て私も使い始めたのですが、とても使い勝手がいいのに感心しましたね。オジさんたちがバスを敬遠する理由のひとつは、小銭の用意や整理券など細かいことが面倒だから。でも、このカードがあればそうした手間は要らない。以来、当院オリジナルの『よかネットカード』を何種類も作るようになりました」

―再びバスを利用するようになって、印象はいかがでしょうか。
「乗り心地が格段に良くなっていますね。乗り降りがしやすいし、昔と違って座席が対面式ではないので他の乗客と視線も合わない。またバスは運転も丁寧です。特に女性運転士が導入されてからはマナーがとても向上したと思います。でも、何よりの収穫はひとりきりになれることです」

―ひとりきりになれるとは?
「以前はバスなどの公共交通機関を利用するのは時間のムダだと思っていました。だからマイカーやタクシーを利用していたのですが、バスに乗っている30〜40分はじっくり考え事ができるとても有効な時間だと発見したんです。仕事場でも家でも、なかなかひとりきりになれる時間は持てませんよね。マイカーでは運転しなくてはいけないし、タクシーでも運転手が話しかけてくる。その点、バスなら誰にもじゃまされず、仕事のことなどを集中して考えられる。実際、バスに乗って考え事をしている時に、ふとアイデアが思いつく瞬間があるんです」


※1 ロータリークラブ:国際親善と社会奉仕を目的とする、実業人・専門職業人の国際的な社交団体。

徒歩と健康
 
 
   
健康のためには1日に男性で9200歩、女性は8300歩、歩くことが必要だといわれていますが、自動車社会が進んで、日本人の歩く歩数が少なくなっています。マイカ−通勤の人とバス通勤では1日に4500歩も違うという例もあります。歩数を増やすには、例えば自宅からバス停まで5分、バス停から勤務先まで5分歩くことで、合わせておよそ1000歩程度になります。歩くときは、少し大またで早歩きにすると、有酸素運動になり、より健康に効果的になるといわれます。  
   
 
 
 
 
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