―安藤先生はロータリークラブの会報に「乗り合いバスの車窓から」という文章を寄せていらっしゃいますが、これはどういうことからお書きになったのですか?
安藤「以前の私はマイカーやタクシーの愛好者で、バスや電車はほとんど利用していませんでした。というのも高校時代、自宅のある福岡市南区から高校のある早良区までバスと市電を乗り継いで通学し、うんざりした経験があるからです。当時のバスや市電は乗り心地が悪く、夏は暑くてすし詰め状態。とにかく良い印象がなかったんですね。ところがあることから再びバスを利用するようになり、その利便性を再発見しました。そこで会報に何か書いてくれないかという依頼があった際にバスの良さを文章にしたわけです。こうしたクラブに参加している社長さんは運転手付きの車でいらっしゃる方が多く、バスなど利用したことがないだろうと思って。結構、反響があって『面白い』と言ってくださる人もいるし、先日は『この文章を読んでバスに乗り始めました』という方もいました」
※以下「」内すべて安藤氏
―バスを再び利用し始めたきっかけとは何でしょうか?
「私どもは西区生の松原で病院を運営しています。父が昭和30年に開設したもので、45周年を迎えた時に病院名などを入れた『よかネットカード』を記念品として作りました。このカードは西鉄電車・バス、福岡市地下鉄で共通して使える非常に便利なもの。私の女房は以前からのバス愛好者で、記念品のカードをよく利用していました。それを見て私も使い始めたのですが、とても使い勝手がいいのに感心しましたね。オジさんたちがバスを敬遠する理由のひとつは、小銭の用意や整理券など細かいことが面倒だから。でも、このカードがあればそうした手間は要らない。以来、当院オリジナルの『よかネットカード』を何種類も作るようになりました」
―再びバスを利用するようになって、印象はいかがでしょうか。
「乗り心地が格段に良くなっていますね。乗り降りがしやすいし、昔と違って座席が対面式ではないので他の乗客と視線も合わない。またバスは運転も丁寧です。特に女性運転士が導入されてからはマナーがとても向上したと思います。でも、何よりの収穫はひとりきりになれることです」
―ひとりきりになれるとは?
「以前はバスなどの公共交通機関を利用するのは時間のムダだと思っていました。だからマイカーやタクシーを利用していたのですが、バスに乗っている30〜40分はじっくり考え事ができるとても有効な時間だと発見したんです。仕事場でも家でも、なかなかひとりきりになれる時間は持てませんよね。マイカーでは運転しなくてはいけないし、タクシーでも運転手が話しかけてくる。その点、バスなら誰にもじゃまされず、仕事のことなどを集中して考えられる。実際、バスに乗って考え事をしている時に、ふとアイデアが思いつく瞬間があるんです」
※1 ロータリークラブ:国際親善と社会奉仕を目的とする、実業人・専門職業人の国際的な社交団体。
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