時間にも、人生にも例えられる川の流れ。 九州一の河川である筑後川を眺めていると 何やら大きなロマンがこみ上げてくる。
温泉郷ならではのお楽しみも満載な 杷木町・原鶴温泉へ。
心もうるおう秋の旅へ出かけよう。
 
文/重村直美  Text:Naomi Shigemura
撮影/三笘正勝  Photo:Masakatsu Mitoma
絵/浜竹睦子  Illustration:Mutsuko Hamatake
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 本で生まれた源流が日田の山里を潤す川となり、いくつもの支流と合流しながら筑紫平野の一級河川へと成長、やがて有明海へとたどり着く。その距離は143キロ。川の流れに人生を重ねるならば、坂東太郎(利根川)・四国三郎(吉野川)と並ぶ筑紫次郎、すなわち筑後川は、九州一ドラマチックな人生を感じさせる河川ではないだろうか。
 長閑な平野を悠々と蛇行する図太い生命力。筑紫次郎は見るというより会ってみたい川である。目的地は福岡市から高速バスで約1時間の朝倉郡杷木町。特に秋は川下側に沈む夕陽がもっとも川面を広く照り輝かせる季節だという。まずは絶好のビューポイントをめざして、小高い山や丘の上へ。川沿いの温泉郷はもちろん、朝倉町方面まで見渡せるビューホテル平成や、昇龍大観音がある展望台など、どっかりと腰を据えて平野部を見渡せる場所が理想的である。
 こうして出会う夕映えの筑後川の表情は優しく、目にした人の人生を祝福するかのように、瞬きながら彼方まで留まることなく流れゆく。そして、この光景を見届けた後から、湯めぐりに鵜飼いにと、温泉地ならではの楽しみがいよいよ始まるのである。

写真上/ビューホテル平成の辺りから眺める夕暮れの筑後川。心鎮まる光景だ。
写真右/秋は湯めぐりにも最適なシーズン。温泉から景色を一望したいなら、ビューホテル平成の露天風呂がオススメ。原鶴温泉26箇所の温泉を立ち寄り湯で回れる湯めぐり帳(1,500円)は、各旅館やホテル、商店にて発売中。1年間有効なので何度訪れても使える。5冊集めると原鶴温泉特製のハーブ石鹸がもらえる。
 

 に映る景色や記憶に残るおいしさ。杷木町の思い出はすべて筑後川とともにある。
 年間80〜90万人の観光客が訪れる原鶴温泉は、肌を潤す柔らかな泉質と並んで、筑後川を望む各宿泊施設からの眺めも人気の理由。個性ある宿の湯をいくつも体験できる『湯めぐり帳』が発売されてからは、浴衣姿で温泉街の散策を楽しむ団体客の姿も増えた。河川敷を香りで満たすハーブは、原鶴温泉内の女性たちによる『湯里おこしの会』が管理栽培を担当。無農薬ハーブを使ったティーや石鹸、ポプリといったオリジナル商品は、原鶴の新しいお土産として好評だ。
 新しいといえば、鵜飼いである。鵜飼いそのものは古事記にも記録が残り、原鶴でも江戸時代から受け継がれる伝統ある漁法だが、平成の現代にあってもエンターテイメント性は充分!色褪せないどころか新鮮ですらある。特に原鶴の鵜飼いは鵜と観客との距離が近く、鵜匠の巧みな綱さばきやスピード感溢れる漁の様子がダイナミックに伝わってくる。見物は10月中旬(乗り合い船は9月末まで)まで。一度ぜひ体験してほしい。
 また、豊かな水源を活かして果樹栽培が盛んな杷木町は、フルーツの里としても知られている。フレッシュな甘さが凝縮された旬の果物は、地元の特産品を販売する道の駅・ファームステーション・バサロでも購入できるが、自分で収穫するのも楽しみのひとつ。9月なら巨峰狩り、10月以降は柿狩りと、豊かな実りが待っている。みずみずしくて香りまでジューシー。収穫した果物はさっそく川辺の草原に座っていただこう。もちろん目の前の筑紫次郎に感謝しながら。

 
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【2004年9月現在】
[福岡→杷木]ひた号(共同運行 日田バス)
●運賃

福岡(博多駅・天神)→杷木
 片道1,300円(往復2,350円)
 スーパー乗車券(4枚綴り)5,600円
※全席定員制

●所要時間 1時間(天神〜杷木間最速)
●運行本数 1日49往復
●お問い合わせ 西鉄テレホンセンター福岡
TEL:092-733-3333
http://www.nishitetsu.co.jp/bus/highway/ 

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