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| 「観光地」というのには名古屋はちょっと 当てはまらないと思っていた。 東京と関西に挟まれた、中部一の地方都市。 一体なにがあるのさ、といぶかる前に ともかく観た、食べた、歩いた名古屋。 史跡や名所名物には、 ちゃあんとその街のキモの部分が記されている。 穴場もいいけれど、真っ当な観光は重要。 改めてそう確認する旅となった。 |
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| 文/塩原 慎 Text:Shin Shiohara 撮影/内藤貞保 Photo:Sadaho Naito 絵/浜竹睦子 Illustration:Mutsuko Hamatake |
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| 人はどうも旅好きが高じれば高じるほど、穴場的なところへ行く傾向がある。それはそれで楽しいのだが、どっこい名所や有名店もすごく愉快だ。名古屋―金の鯱、味噌料理…インパクトの強いものが多い。しかし食べ物も観光も、自分の住む街と違えば違うほど面白い。それらを真正面から観光してみる。 地下鉄市役所駅周辺は役所が整然と建ち並ぶ。その中を抜け、駅から徒歩約3分足らずで名古屋城に着く。城内は広い。最初に天守閣から行こう。エレベーターで展望室まで昇るのだが、まるで百貨店のように入口に案内嬢がいる。らせん階段も美しく整備されている。5階には実物大のシャチに腰掛けられる施設もある他、城下町の様子や当時の殿様の祝い膳なども興味深い。日本の寿膳の原型を見る思いだ。金鯱の鱗は過去2回も盗難に遭ったことがあるらしい。 それから二之丸庭園内の茶亭でお抹茶と地元の生菓子で一服。「名古屋はお稽古ごとや、茶道のさかんな街でもあるんです」と茶亭の方。茶の流派も松尾流があり、焼き物の産地・瀬戸も常滑も愛知県だ。天守閣の北側には、ふだんは公開されていないが古田織部の意匠による茶室、猿面や又陰もある。二之丸庭園では秋の紅葉も見事だという。 |
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方言あるところに文化あり。みゃあみゃあ可愛い名古屋言葉、特に大須のような下町を歩くとよく耳に飛び込んでくる。「次はどけー行かっせる?」「暇やで喫茶店でも行こみゃあか」「行こまい行こまい」。しかし名古屋人はエビフライを「えびふりゃー」とは言わない。えびふりゃーは言わずと知れた、タモリ発祥の言葉といわれているが、たくましい名古屋人。結局、名物にしてしまったという。 地元の人から愛される名店、名物を検証しながら、名古屋的なるものを嗅ぎ取ってゆく。一杯めはそのまま、二杯めは茶漬けにと二度おいしい「ひつまぶし」に代表される「一つの品で食べ方は何通りも」の方法は、「矢場とん」の味噌カツの食べ方に通じる気がする。1・そのまま、2・少し甘いならカラシをつけて、3・口を変えたいならすりごまかけて、4・一味唐辛子を…といった具合。旅から戻って2日後、「ヨコイ」のあんかけスパが無性に食べたくなって困った。名古屋コーチンも、天むすもしかり。ふと思い出し、涎をためてしまうような反復性がある。テレビ塔や大須の街、名古屋城で堪能した庭とお抹茶にしても、思い出しては再訪の決意を固くする。 ご教訓。表面的なイメージに反して、実の内容は深く、美味しい体験。さあ、行くべし観るべし食べるべし。 |
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