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CSRレポート2010について


専門家からのご意見

レポート全体の印象

 CSRレポートとしては4年目ですが、毎回、洗練された内容となってきています。今年は特集記事のなかで、従業員のワーク・ライフ・バランスへの取り組みを取り扱っていますが、CSRレポートに盛り込まれるべき内容として適切な位置づけであると考えます。公共交通機関の利用促進を、地域社会との連携の中で進めようとしていることが、特集記事や社会活動の中での地域とのつながりの記事からもはっきりと読み取ることができます。

西鉄の社会的責任(CSR)経営の評価

 10年後の西鉄グループの将来ビジョンに掲げられている「高品質・高付加価値の追求」にむけて、第12次中期経営計画がスタートした2010年でした。商品やサービスが安価であっても低品質であることへの反省を迫られている今の時代に、CSR経営をさらに深化させるという形で、高品質をめざそうとしている企業の姿勢には納得できるものがあります。全従業員にこの精神が行き届くことを期待します。さらに言えば、たとえば公共交通機関であるバスの品質の一つである定時性確保のためには、タクシーやマイカーなどがバスレーンの確保に協力するなど、この目標は、利用者・地域社会の理解と協働の中ではじめて実現できるものであることを企業としてさらに自覚することが必要ではないでしょうか。

西鉄の安全・社会・環境の諸活動についての評価

 東日本大震災を契機に、大災害がおこったときの危機管理のあり方に関心が集まっています。2010年は鉄道部門で震災を想定した総合訓練が行われたことが記されており、西鉄の平素からの備えを感じさせられますが、部門別にとどまらず、さらに本社・バス部門・流通部門などを含めた総合的な災害等のリスク管理の準備が、自治体関係者やインフラ関連の他事業者との連携も視野に入れた上で、確実に行われていくことが望まれます。社会活動としてのバリアフリー推進も擬似体験学習などのソフト面の施策を含めて着実に進められていますが、西鉄の取り組みが、幼児を連れた親や高齢者・障がい者への温かい市民のまなざしを育てるために寄与できるものとなることを期待します。環境面での取り組みも実績があるところであり、特にバス部門と鉄道部門での廃棄物等排出量が前年比で大きく下がっていることが注目できます。ただし、本社部門でのエネルギー使用量やCO2排出量については統計の取り方の変更があるなら、注記されることが理解を助けることになったかもしれません。生物多様性保全を考えた月の浦西公園が完成したことは喜ばしいことです。学校や地域での環境教育にも活用されることを期待できそうです。

西鉄のCSR活動への期待・要望

 よりよい環境づくりとは、結局のところ、安心・安全な社会を持続的に作り上げていくこと、といえます。その意味ではCSR活動はいずれも、同じことを目指した活動であることをしっかりと認識する必要があります。霞が関の縦割り組織と異なり、自由に行動できる企業だからこそ、この認識を活かすことができるに違いありません。昨年も連携の重要性を述べましたが、連携とは自社グループないし社外の他の組織との連携にとどまらず、テーマ間の連携をも意味します。西鉄グループの活動と貢献とによって、この地域社会が、よりよい環境のもとでの持続可能な社会となっていくことは、西鉄グループの向上にもそのままつながっていくことでしょう。
 高品質・高付加価値のサービスを提供しつづける企業としての発展を祈ります。

 東日本大震災の影響もありエネルギーに対する人々の関心が高まる中、過剰な乗用車利用への反省から、公共交通機関の長所を見直す動きが広がっているようです。今後、実現されるべき低炭素社会にとっても、人の移動が乗用車から公共交通へシフトすることによる省エネ効果は大きく、公共交通の利用促進は、これからのまちづくりに欠かせない視点だと考えます。私たちが発行している地域通貨「ペパ」は、2005年から西鉄バス・電車でも利用できるようになり、現在はnimocaの購入やチャージの際の割引券として多くの会員が活用しています。西鉄が他の事業者や自治体などと連携して行う利便性向上のための取り組みが、電車やバスの利用促進になっていることは言うまでもありませんが、このように私たちNPOと協働することによって生まれる好循環もまた、新たな利用促進につながるのではないかと実感しています。
 また、都心と郊外では利便性に差はあるものの、公共交通は水道・電気・ガスと同様に快適な生活環境を維持するために欠かせないインフラです。特に、乗用車を運転できない学生や高齢者にとって、公共交通は貴重な移動手段であり、安心して利用できることが何より求められています。最近バスに乗るとよく見かける女性ドライバーは、その丁寧な運転にとても好感が持て、こうした利用者に安心感を与えているのではないかと思っています。
 ここで環境負荷低減活動の実績と計画に目を移してみると、CO2排出量に関してはほとんどの部門で目標を達成し、削減に向けた努力が成果をあげていることが分かります。また、廃棄物については、目標を達成できていない部門がいくつか見られるものの、バスカード廃止による産廃の削減効果が目を引き、nimocaの導入が廃棄物削減にも貢献していることがわかります。私は、地域の住民を対象とした循環生活に関する研修を行っている経験から、廃棄物の削減には従業員やお客様の意識啓発が大変有効であり、教育研修という形でNPOが協力できる場面も多いのではないかと感じています。そして、教育研修やグループ内で培った経験や技術の活用が、資源を大切にする循環型社会形成への一歩につながるものと確信しています。
 このCSRレポートから、西鉄グループのCSR活動が、福岡を基盤として広がりはじめていることを感じます。今後は、グループの中で収益に大きく貢献している国際物流事業の活動報告が、より紙面に反映されていくことを期待しています。

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